【離婚】再婚禁止期間の短縮について

弁護士の福ヶ迫です。

離婚に関して、現在のホットなトピックになっている再婚禁止期間の改正の件をご紹介します。

今月1日に、女性の再婚禁止期間を離婚後6カ月から100日に短縮し、離婚時に妊娠していなかった場合は100日以内でも再婚可能にする民法の改正が参院本会議で全会一致で可決、成立しました。

これは、再婚禁止期間のうち100日を超える部分を「過剰な制約で違憲」と判断した最高裁判決(昨年12月)を受けた措置となり、再婚禁止期間の見直しは初めてのこととなります。


この件に関して

女性の再婚禁止 100日に 期間短縮、改正民法成立(毎日新聞、引用)

http://mainichi.jp/articles/20160601/k00/00e/010/219000c

女性の再婚禁止期間を離婚後6カ月から100日に短縮し、離婚時に妊娠していなかった場合は100日以内でも再婚可能にする民法の改正が1日、参院本会議で全会一致で可決、成立した。禁止期間の100日を超える部分を「過剰な制約で違憲」と判断した最高裁判決(昨年12月)を受けた措置。再婚禁止期間の見直しは初めて。

公布日から施行されるが、法務省は既に最高裁判決を受けて、離婚後100日を超える婚姻届を受理するよう自治体に通知しており、窓口実務に大きな影響はないとみられる。

民法733条1項は、父子関係を安定させるため、女性の再婚禁止期間を離婚後6カ月と規定。今回の改正はこの期間を100日に短縮した。また(1)離婚時に妊娠していなかった(2)離婚後に出産した−−など、「父は誰か」という推定が重ならに場合は1項を適用せずにすぐに再婚できるようにした。(1)、(2)に該当することを戸籍窓口で証明するため、原則として医師作成の証明書の提出が求められる。

民法は、結婚(再婚)から200日経過後に生まれた子は現夫(再婚夫)の子、離婚後300日以内に生まれた子は前夫の子と推定するとの規定がある。離婚後100日経過すれば、推定は重ならないことから、最高裁判決は離婚や再婚が増加している近年の社会状況を踏まえ、「再婚の制約をできる限り少なくする要請が高まっている」と指摘していた。

今回の改正では、与野党の修正合意により、施行3年後をめどに見直しを行う付則も加えられた。


民法は、結婚から200日経過後に生まれた子は現夫の子、離婚後300日以内に生まれた子は前夫の子と推定するとの規定があります。この規定によれば、離婚から間もなく結婚をし出産をした場合、前夫の子であり、かつ現夫の子であるとの推定が生じることになります。

そのため、民法733条1項で再婚禁止期間の規定を定め、父子関係を安定させること、すなわち婚姻中に懐胎した子どもの父親を確定させることができるようにしたのです。

ただ、この規定からすると、父子関係の安定には、離婚後100日あれば計算上推定は重ならなくなることから、以前より離婚後半年の期間再婚ができないというのは、行き過ぎた制約ではないかとの声がありました。しかし、平成7年の最高裁判決では、合理的な制約として半年間の再婚禁止期間を合憲と判断してきました。

しかし、このたびの最高裁判決は離婚や再婚が増加している近年の社会状況を踏まえ、「再婚の制約をできる限り少なくする要請が高まっている」と指摘し、再婚禁止期間のうち100日を超える部分を「過剰な制約で違憲」と判断され、これに基づき民法の改正となりました。

これにより、女性の再婚への制約が多少なりとも軽減されたことになります。

ただ、現在ではDNA鑑定などが発達しており、そもそも100日も再婚禁止にするだけの父子関係が不安定になるとはいえないのではないかとの疑問もあり、今後も再婚禁止期間の撤廃も視野に議論されることが予想されます。

私も、その議論の流れについては、離婚を取り扱う弁護士として注視していきたいと思っています。

 

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